「新米はおいしくて、古米はおいしくない」というイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。
古米は新鮮な新米に比べて、風味や食感が劣りますが、実は炊き方を工夫したり、相性のよい料理に使用したりすることで、おいしく食べることができます。
そこでこの記事では、古米をおいしく食べる方法を解説します。また、新米と古米の違いや、古米と相性がよい料理もあわせて紹介します。
古米の魅力やおいしく食べる方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
古米とは?

そもそも古米とは、収穫から1年以上経過したお米のことをいいます。
一方新米は、その年に収穫されたお米のことです。食品表示法に基づいた食品表示基準では、収穫した年の12月31日までに精米、容器包装されたお米を新米と定めています※1。
例えば、令和6年9月に収穫されたお米であれば、令和6年の12月31日までは新米、令和7年1月からは古米として扱われます。

お米の呼び方は収穫からの経過年数によって変化するのが特徴です。
前々年(2年前)に収穫されたものは「古古米」、3年前に収穫されたものは「古古古米」と呼ばれます。
新米と古米の違い
新米と古米では、水分の含有量や粘り、香りなどに違いがあります。新米と古米の違いを次の表にまとめました。
新米 | 古米 | |
---|---|---|
水分量 | 多い | 少ない |
粘り | 多い | 少ない |
香り | よい | 古米臭いがすることがある |
食感 | ふっくら | 硬め |
味 | 甘い | あっさり |
新米は水分の含有量が多く、ふっくらとした食感に炊き上がることが特徴です。また、粘りや甘みがあり、お米のおいしい香りも楽しめます。
一方古米は、水分の含有量が少なく、硬めに炊き上がることが特徴です。粘りや香りも少なく、新米に比べてあっさりとした味わいです。
古米を炊くと、「古米臭」と呼ばれる独特のにおいがする場合があります。
古米臭は、お米に付着している糠が酸化することで生じるにおいのことで、人によっては糠臭さや、酸っぱさを感じることもあります。
米の賞味期限について
お米は生鮮食品のため、野菜や果物同様に、賞味期限や消費期限の記載がありません。
お米は精米すると劣化が進みやすくなるため、賞味期限がなくても早めに食べることをおすすめします。
お米がおいしく食べられる期間は、常温で保存する場合は精米日から1~2か月程度とされています。
お米には賞味期限の記載はありませんが、精米日の記載はあるため、お米を購入する際は、ぜひ精米日を確認してみてください。
古米をおいしく食べる方法
新米に比べて風味や食感が劣りがちな古米ですが、炊くときにひと工夫加えることで、おいしく食べることができます。
ここでは、古米をおいしく食べる方法を紹介します。古米の消費に悩んでいる方は、ぜひこれから紹介する方法を試してみてください。
長めに浸水させる

古米を炊くときは、お米をといだあとに長めに浸水させるようにしましょう。
古米は水分の含有量が少ないため、浸水時間を長めにとり、しっかりと吸水させることが大切です。十分にお米に水を吸収させることで、古米でもふっくらと炊き上がります。
浸水する時間は、冬場は1~2時間、夏場は30分を目安にするとよいでしょう。
水の量を少し多めにする
炊飯時に少し多めに水を加えて炊くことで、やわらかめの食感に炊き上がり、古米でもおいしく食べられます。
古米を炊くときは、通常よりも大さじ1~2杯程度多めに加水するとよいでしょう。
氷を入れて炊く

古米をおいしく炊き上げたい場合は、お米を炊く際に氷を入れる方法も有効です。氷を入れて炊く場合は、1合あたり3個程度の氷が目安です。
氷を入れることで、水分量が少し増えてふっくらとした食感に炊き上がります。
また、氷を入れると水温が低下してお米がゆっくりと加熱されるため、甘みが増しておいしさがアップします。
調味料を加えて風味をよくする
古米の風味が気になる場合は、調味料を加える方法もおすすめです。調味料を加えることで、古米の特有の風味がマスクされておいしく食べられます。
古米を炊く際に加えるおすすめの調味料は、次のとおりです。
順番に紹介します。
酒やみりん
古米臭が気になる場合は、酒やみりんなどの調味料を、1合あたり大さじ1~2杯程度加えるとよいでしょう。酒やみりんを加えることで、古米臭特有の糠臭さをカバーすることができます。
酒やみりんを加える効果は、臭み消しのほかにも、お米の風味アップや、艶出しにも効果的です。
ただし、みりんを加えると炊飯器の内釜の底が焦げ付きやすくなるため、その点は注意しましょう。

酒やみりんにはアルコールが含まれていますが、炊飯の過程でアルコール分が飛ぶため、小さな子どもでも安心して食べられますよ。
梅干しや昆布

古米特有の風味を抑えたい場合は、炊飯時に昆布や梅干しを入れる方法もおすすめです。
昆布を加えると、旨みが増して古米がおいしく食べられます。
梅干しの酸味には、古米臭を抑える効果があるため、古米臭が気になる場合はぜひ試してみてください。
餅
古米の硬い食感をやわらかくしたい場合は、小さめにカットした餅と一緒に炊飯する方法もおすすめです。古米と餅を一緒に炊くことで、ごはんの粘りが増して艶も出ます。
また、炊き上がったごはんに薄くスライスした餅を加えて混ぜあわせても、ごはんの粘りが増して、もちもちとした食感を楽しめます。
古米の硬い食感が気になる方は、ぜひ餅を加えてみてください。

餅の代わりにもち米を入れて炊いておいしく食べられます。
竹炭

竹炭を入れて炊く方法も、古米の臭いを抑えたい場合に効果的です。
竹炭の表面には、「細孔」と呼ばれる小さな穴がたくさん存在しています。細孔からにおいのもととなる物質が吸収されるため、古米と竹炭を一緒に炊くと、古米臭が軽減されます。
また、竹炭はミネラル成分が豊富です。竹炭と一緒に炊くと、水に溶けだしたミネラル成分により古米が風味よく炊き上がります。
竹炭は一度使用しても、水洗いして煮沸消毒し、天日干しでしっかりと乾燥させれば再利用できるところも、嬉しいポイントです。
油やバター

古米のパサつき感が気になる場合は、少量の油やバターを加えてみるのもよいでしょう。
古米を炊飯する際に、油脂分が多い油やバターを加えることで、艶のあるふっくらとしたごはんを炊くことができます。
バターやサラダ油やオリーブオイルなどの油脂類のほかにも、マヨネーズを加えることでも、古米のパサつき感を軽減できます。
蒸らし時間を長めにする
古米をおいしく食べたいなら、蒸らし時間を長めにとるようにしましょう。
炊き上がっても蓋を開けずにそのまま15分ほど蒸らすことで、ふくらとしたおいしいごはんを楽しめます。
15分間蒸せたら蓋を開けて余分な水分を飛ばし、しゃもじで内釜の底からふんわりと混ぜましょう。余分な水分を飛ばすことで、ごはんの過度なべたつきを防いで、風味がよくなる効果が得られます。
古米と相性がよい料理
古米は水分の含有量が少なく硬めの食感が特徴ですが、実は古米の特徴が活かせる料理もたくさんあります。
そこでここでは、古米と相性がよい料理を紹介します。古米の特性をいかしておいしく調理したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
炊き込みごはん
古米は炊き込みごはんと相性抜群です。
古米は水分の含有量が少ない分、水分をよく吸収するため、調味料が染みやすく、炊き込みごはんをおいしく炊き上げることができます。
炊き込みごはんは、肉や魚、野菜など、さまざまな具材を組みあわせて自由に作れるため、バリエーションが豊富です。
古米を炊き込みごはんに使用すれば、古米特有のにおいも気になりにくいため、古米のにおいに悩んでいる方は、ぜひ炊き込みごはんに使用してみてください。
チャーハン

古米はチャーハンに使用するごはんにも適しています。水分の含有量が少なく硬めの食感の古米は、パラパラとしたチャーハンを作るのにピッタリです。
一方、新米は水分の含有量が多く粘りが強いため、チャーハンに使用するごはんにはあまり適していません。新米をチャーハンに使用すると、ベタベタした食感になり、パラパラに仕上げることは難しくなります。
パラパラのチャーハンを作りたい場合は、ぜひ古米を使用してみてください。チャーハンのほかにも、パエリアやジャンバラヤのような料理とも、古米は相性抜群です。
寿司
古米は寿司に使用する酢飯にも適しています。
古米は乾燥が進んで水分の含有量が少ないことが特徴です。水分が少ないと、吸水性が高まるため、古米を酢飯に使用すると、寿司酢が染みこみやすくなります。
酢飯は、にぎり寿司や巻きずし、ちらし寿司など、多種類の寿司に使用できるため、古米が余っている方は、ぜひいろいろな寿司を作ってみてください。
お粥やリゾット

古米のパサつきが気になる場合には、お米やリゾットなどの、お米に水分を加えて煮る料理もおすすめです。
水分を加えて煮ることで、古米の水分量の少なさをカバーできるため、パサつきを気にせずおいしく食べられます。
お粥は消化がよい特徴があるため、食欲がないときや胃腸が弱っている場合は、ぜひメニューに取り入れてみてください。
お米の正しい保存方法
お米のおいしさを長く保つためには、正しい方法でお米を保存することが大切です。お米を保存する場合は、風通しがよく、直射日光が当たらない冷暗所で保管しましょう。
高温多湿の環境は、お米が劣化して風味が悪くなってしまうため、お米の保管場所には適していません。
お米の鮮度をキープしたい場合は、冷蔵庫での保管がおすすめです。冷蔵庫で保管する場合は、密閉容器に移し替えて保管することをおすすめします。
袋のまま冷蔵庫に入れると、お米に冷蔵庫内の臭いが移り風味が悪くなる恐れがあるため、注意が必要です。

チャック付きの保存袋や、よく乾かした空のペットボトルを密閉容器として使用するのもおすすめです。
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まとめ
この記事では、古米をおいしく食べる方法や、新米と古米の違い、古米と相性のよい料理を紹介しました。
古米は水分の含有量が少なく、硬めの食感のため、おいしくないイメージを持つ方も多く見られます。
しかし、炊き方を工夫したり、古米の特性を活かせるよい料理に使用したりすれば、古米であってもおいしく食べることが可能です。
ぜひ、記事内で紹介したおいしく食べる方法や相性がよい料理を参考にしてみてくださいね。
<参考文献>
※1 農林水産省|新米の表示の定義を教えてください。